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    散文、なにやら詩的な物が置いてあります。
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366日前の日記
2009 / 08 / 02 ( Sun )
「ひとの手記を盗み見るなんて、無粋だね」
そう言いたくて、今日もまた手帳を放っておく。栞を挟んだまま、意味ありげにはみ出させて、机の上。
誰も来ない部屋に。

日記の内容は毎日おんなじだ。 文句は変えてあるけれど。
この中の誰も彼も、悲観している。悲観しながら、主張している。此処に己が居るのだ と。
日記の書き手は毎日違っている。筆跡も、文体も。
観察者は、この僕だ。
「この僕」といっても、一体誰なのかも知らない。一人称なんて不確かなものだ。
「俺」と言う、「私」と言う。ひとはどれも同じ人間だと思うだろう。見てくれは同じなのだから。一人称を使わないものだって居る。

最初に、強くなりたかった僕は、用心棒を作った。
そうして、寂しかった僕は、友達を作った。
賢くならなくてはと、優等生を作った。
寛大にならなくてはと、兄を作った。
それから、優しくなりたくて、妹を作った。
愛したくて、恋人を作った。
悲しむのに疲れて、人形に作り変えた。
かれらに名前は無かった。

人数が増えると不便なので、僕はかれらに、大好きなヒーローの名前をつけた。

日記を書いているのは、かれらだ。
僕は滅多に、日記を書かない。感情の殆どは、かれらが担っている。
僕の過ごした日は、とても平坦だ。日記を書こうとしても、何も書く事ができない。
かれらの過ごした日は、豊かに不安定だ。悩み、怒り、悲しみ、笑っている。
僕は、この手が記したかれらの日々を、読み返し物語を読むように復習している。
この日記は、かれらの日記だ。僕の中に居る、彼らの日記だ。妹は、もう消えてしまった。

これら全ては、あるいは、僕の壮大な狂言なのかもしれない。
装っている。筆跡も、文体も。可能性は否定できない。
だって僕は覚えている。ペンを持って、その文字を書いた風景を、書き手の視点から。
それは僕が書いたという証拠になるのかもしれないけれど、覚えていないものがある。
その文字を綴った時の感情だけは、どうしても判らない。
僕がその筆跡を真似ようと思うと、形は歪になってしまうし、かれらの何倍も時間がかかる。

この日記を放置すれば、誰かが、気付いてくれるかもしれないと思った。
気付いてもらって、如何するのかはわからない。気付いて欲しいとも、僕は思っていない。
それに、だって、この部屋には、誰も来ないのだから。
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(散文)| 08 : 09 : 09 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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